院長ブログ
Blog2025年5月26日
2025年3月に認知症について講演しました。
聞きたかったけど行けなかったというお声頂きました。
以下の5回に分けて報告します。
聞かれた方は復習と思って読んでいただければ幸いです。
認知症という病名は、正確ではありません。
認知症とは、色々な原因で認知機能が低下し、日常生活に支障が生じている状態をいいます。
大事なことは日常生活に支障が生じている状態です。
日常生活に支障が無ければ認知症とはいいません。
認知症の原因となる病気は60以上あります。
主な病気は以下の通りです。
アルツハイマー型認知症 67.6%
血管性認知症 19.5%
レビ-小体型認知症 4.3%
前頭側頭葉型認知症 1.0%
以上で92.4%です。
残り7.6%に60近い認知症の原因となる病気があるのです。
アルツハイマー型認知症が7割近くで、認知症の原因の多くを占めています。
認知症は残念ながら殆ど回復することが無いのですが、以下の病気は改善する可能性があります。
慢性硬膜下血腫
正常圧水頭症
甲状腺機能低下症
脳腫瘍
脳炎
ビタミンB1欠乏症・ビタミンB12欠乏症
以上の病気は、血液検査、CT、MRI等で診断できます。
ただこれらは認知症全体の1%くらいで、とても少ないのです。
治る認知症はとても少ないのが現状です。
これからお話しする認知症は、アルツハイマー型認知症になります。
検査には、問診、神経学的検査、認知症検査(長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE)、CT、MRI、SPECT、PET等沢山あります。
この中で問診、認知症検査が大切です。
CT、MRIはあくまでも傍証の検査です。
この検査のみで認知症と診断するのは、問題のあるところです。
アルツハイマー型認知症の診断にPETはとても有用ですが、費用がかかりまだ一般的ではありません。
下記の①、②見てください。違いが分かりますか。
②は、すでに生活に支障が出ているので初期アルツハイマー型認知症と診断できます。
では①はどうでしょうか。
よく見られませんか。
①の症状だけではアルツハイマー型認知症とは言いません。
日常生活に支障が無ければ、アルツハイマー型認知症ではなく、軽度認知機能障害という診断になります。
この違いは意外に難しいのですが、①の症状が見られたらすぐ認知症と思わないでくださいね。